“公益財団法人地球環境センター”の事例
組織にあった制度を綿密に検証 現場確認も決裁業務も自宅で可能に
法人概要
- 本部所在地
- 大阪市鶴見区緑地公園2-110
- 東京事務所
所在地 - 東京都文京区本郷3-19-4 本郷大関ビル
- 理事長
- 鈴木 直
- 従業員数
- 52名(2021年1月現在)
- 事業内容
- 開発途上国への技術的支援等の国際協力、地球温暖化対策への貢献等の地球環境事業
組織にあった制度を綿密に検証
現場確認も決裁業務も自宅で可能に
情報漏洩を懸念し、所外業務を禁止 柔軟な働き方を目指して情報を収集
当法人は、開発途上国への技術的支援等の国際協力を軸に、地球温暖化対策への貢献等の地球環境保全に資する事業を推進しています。国連総会で採択された持続可能な開発のための目標(SDGs)とパリ協定に基づく温室効果ガス削減に向けての貢献を目指した活動も行っています。
補助金の執行業務といった官公庁からの仕事も受託しており、情報漏洩リスクを下げるためノートパソコンでの所外業務は禁止としていました。しかし業務の性質上、出張も多く、テレワーク制度の必要性がありましたが、セキュリティ対策や労務管理等に不安がありました。そこで、2019年8月に東京テレワーク推進センターのセミナーに参加し、「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」を知り、セキュリティを強化することと紙資料の電子化による業務の効率化、長距離通勤者への対応等も含めた柔軟な働き方を目指した挑戦が始まりました。
新たなシステム方式活用でセキュリティ強化 フレックスタイム制度導入を検討
2019年10月からワークスタイル変革コンサルティング事業のコンサルティングが始まりました。ICT環境の構築やセキュリティ強化、業務の見直し、システム・機器の選定について検討する中、フレックスタイム制度があるとより柔軟にテレワークが活用できるとの助言を受け、フレックスタイム制度を導入することとし、その組合せ運用も視野に入れることにしました。
当法人にはIT専門部署がないため、デジタルに詳しい職員が自分の業務と兼務する状況です。セキュリティについては色々な方法を試してみないと結論が出せないと判断し、コンサルタントからセキュリティ指針策定で助言をいただき、既に利用しているVPN接続とリモートデスクトップの2種のセキュリティ対策を検証することにしました。コンサルタントと所内の状況を考慮しながら検討することで、テレワーク導入のロードマップが明確になりました。
Web会議や電子決裁導入で生産性向上 アクセス方法とパソコンの相性を検証
2020年1月に「はじめてテレワーク」を活用しノートパソコン3台、さらに当法人でノートパソコン2台を導入しました。ノートパソコンはシステムとの相性を検証するため、敢えてスペックが違う端末を揃えました。トライアルは、週1日の在宅勤務を2020年3月までの3か月間で行いました。対象者は、役職、性別、年齢等を考慮して5名を選定しました。
受託している補助金事業では現地確認を行う業務があります。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、現地へ行くことが難しくなったため、その業務をテレワークにしました。現場確認が必要な工場の機器設置状況等はWeb会議中にリアルタイムで配信して確認しました。現場には通信設備がなく、インターネットが使えない場合でも、動画や静止画を撮影してもらった後、インターネットが使える場所でWeb会議を行い、その画像を画面共有しながら確認していきました。これまで、現地に行くべきと考えていた業務ですが、効率のよい新たな進め方を発見できたと思います。また、所外で業務が行えるテレワーク勤務規程ができたことで、大阪本部と東京事務所を行き来していた紙書類の決裁書等も、電子決裁に変え、即時性のある承認業務が行えるようになりました。
チャットによるコミュニケーションは、テキストでの会話となるため一度頭で内容が整理でき、対面の会話より相談が伝わりやすかったという効果がみられました。
テレワークを行うことで、アクセス方法とノートパソコンのスペックの違いで相性があることが分かりました。特に通信容量が大きくなるWeb会議では途切れてしまう組合せもあり、最終的に数種のノートパソコンに統一しました。さらに、通信回線の不具合や機器の操作等においてITに苦手意識のある職員が困ることがありましたので、サポート窓口を作り、相談を受け付けました。
経験の浅い職員のフォローが課題 制度の活用範囲を見直しで定着を推進
新型コロナウイルス感染症の拡大により2020年4月に予定していた本格導入を前倒しして、全職員を対象にした在宅勤務に移行しました。
コロナ禍では週5日の活用をしていますが、テレワーク制度としては週1日と規定しています。コミュニケーション面だけでなく、ペーパーレス化や印鑑の廃止に向けて制度の在り方を再検討しています。
また、経験の浅い職員の作業効率が落ちないかと、管理職からは不安の声があります。気軽な声掛けや表情を伺うことができないため、どう信頼関係を作っていくかが課題となります。これからも検証と改善を続けていくことで、職員が活用しやすく、生産性の高い制度にしていきたいと思っています。
テレワーク導入の流れと成果
きっかけ
- 紙資料の電子化による業務効率の向上
- 長距離通勤者への対応等の柔軟な働き方の推進
コンサル
- セキュリティ指針策定の監修
- システム・機器の選定、フレックスタイム併用等を相談
取組
- スペックの違うノートパソコン5台を導入
- ノートパソコンとVPN、リモートデスクトップとの相性を検証
- 補助金事業の現地確認や所内決裁をオンラインで実施
- ITに苦手意識のある職員のためのサポート窓口を開設
成果
- Web会議を活用した現地確認により効率アップ
- 電子決裁で即時性の高い意思決定が実現
現在の運用方法
PROJECT leader
テレワーク導入への意思決定を早くするコツは、経営層や管理職が活用してみることです。私もデジタルに強くはないですが、今では違和感なく在宅勤務しています。電子決裁にも慣れました。是非怖がらずにチャレンジしてみませんか。
常務理事 東京事務所長
木村 祐二 様
TELEWORK 実施者の声
通勤がなくなり、朝の準備が楽になり、業務にも集中できるようになりました。ただ、長時間休まずに作業をしたり、夜ご飯を食べた後、寝る前に気になって少しパソコンを開いて仕事をしてしまうことがあります。時間の自己管理をしっかりしていきたいです。
総務グループ 企画官
村上 祐子 様