“株式会社イノベーション”の事例
会社が前進するために、柔軟な働き方を模索
会社概要

- 本社所在地
- 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-10-13
TOKYU REIT 渋谷R ビル3階 - 従業員数
- 78名
- 事業内容
- BtoBに特化した営業・マーケティング支援事業・ITトレンド等オンラインメディア事業・セールスクラウド事業

経営課題 会社が前進するために、柔軟な働き方を模索
テレワークをトライアル導入し、コミュニケーション不要の業務を効率化
会社が成長していく中で、社員のライフステージの変化に直面
当社の設立は2000年12月です。創業以来、BtoBに特化した営業・マーケティング支援事業を軸に、「ITトレンド」等のオンラインメディア事業やリストファインダー等のセールスクラウド事業を展開しています。企業が抱える営業・マーケティング面での課題を解決し、業務の効率化をサポートしています。
当社では、社内のエンジニアと事業部門が連携し、業務を進めています。2013年の時点では5名だったITエンジニアも、お客様の要望により迅速に対応できるよう17名にまで拡大し、独身が多かった社員も家族を持つようになりました。育児休業中の社員が5名います。介護をしている社員もいます。こうした社内環境の変化に伴い、より柔軟な働き方の必要性を感じるようになりました。そうした課題を解決し、当社が前に進むための仕組みとして、テレワークのトライアル導入に至りました。
フレックスタイム制の本導入とテレワークのトライアルを同時に実施
当社では、フレックスタイム制の本導入と、テレワークのトライアル導入を、2017年10月から始めました。テレワークは在宅勤務に限定です。営業の場合、外出時に電話対応、メール対応することはこれまでもありました。これをモバイル勤務と位置付けるならば、すでに導入している状態にあると考えました。今回、テレワーク導入の目的は、あくまで育児や介護のある社員が仕事を続けられる環境を整備することでしたので、それに合致するのは在宅勤務だと判断しました。
参加したのは6名です。ITエンジニアの中村はプログラムを書いていても、お客様からの問い合わせにより営業から声を掛けられ、業務が中断することがあります。そのためコミュニケーションを遮断して、集中する時間も必要だと感じていました。育児と仕事を両立しているマーケティング担当の千葉も同様の状況でした。トライアルにおいては、業務範囲の規定等は設けず、在宅で行う業務内容は個人判断としました。勤務の開始と終了は社内コミュニケーションツールのチャットを利用し、上長へ報告。合わせて勤怠管理システムに入力することで管理しました。他に労務可視化ツールを試験的に導入し、勤怠管理とパソコンの操作ログを照らし合わせることも実施しました。
在宅勤務により業務効率化を実現 コミュニケーションへの意識も向上
マーケティング担当の千葉の業務は、ブログコンテンツの作成やメールの配信設定・作成、自社の顧客データ管理です。在宅勤務で行う業務内容は上司と話し合い、ブログコンテンツの作成と決めていたこともあり、トライアルに当たり大きな支障はありませんでした。コミュニケーションについては、社内にいる時もチャットを活用していましたが、在宅勤務をしてみると、普段何気なく取っていたコミュニケーションの重要性に気付き、意識が高まりました。週に1回、在宅勤務を実施しましたが、通勤時間の削減だけでなく、化粧等の支度時間も短縮できたと非常に好評でした。
中村に関しても、プログラミングやコーディング等の作業は、自宅の方が集中できました。その他、業務の特性を考え、対面の方がコミュニケーションを取りやすい業務においては出社時に行い、チームミーティングはWeb会議で参加する等、個々の判断で円滑に進行しました。
既存のVPN※1とクラウド管理システム※2を活用 セキュリティを確保し、テレワークを実施
セキュリティに関しては、VPN※1を利用し、クラウド管理システム※2にアクセスすることで確保しました。テレワークのトライアル導入にあたり新しく導入したのは、労務可視化ツールだけです。ノートパソコンは、既に会社から支給されていましたので、スムーズにテレワークを開始することができました。
モデル実証を終えて 社員のモチベーション向上等 長期的にプラスに作用する印象
社員からの感想はポジティブでした。ただ、3ヵ月間のトライアルでは本導入するかの判断材料をすべて揃えることはできませんでした。また、営業成績のような目に見える数字に、テレワーク導入がすぐに結びつくわけではないかもしれません。しかし、長期的に見たときには、社員のモチベーションの向上等、プラスに働く仕組みという印象を受けています。“イノベーション”という社名を名乗っている以上、働き方も柔軟な会社でありたいと思っています。
解決ポイント
- 経営課題
- 育児と仕事を両立する社員が増加する等、社員のライフステージが変化
- 社員がよりパフォーマンスを発揮するための働き方を模索
- 導入概要
- 既存の会社支給のノートパソコンを利用
- VPN※1で自宅から会社のサーバーにアクセスすることでセキュリティを確保
- 社内コミュニケーションツールのチャット、勤怠管理システムを利用し勤務時間を管理
- 導入効果
- 作業を集中して行うことで業務効率が向上
- 在宅勤務時における通勤時間の削減、支度時間の短縮
テレワーク体制図

導入の様子

技術開発ユニット エンジニアリンググループ グループマネージャー 小笹 佑京 様
技術開発ユニット エンジニアリンググループ ソフトウェアデベロップメントチーム 中村 瑞基 様
企画管理ユニット 広報・マーケティンググループ 広報・マーケティングチーム 千葉 奈央子 様
企画管理ユニット 広報・マーケティンググループ グループマネージャー 遠山 聡美 様
モデル実証企業からのアドバイス
テレワークの目的を明確にして、手段として活用
テレワークを導入する際は、社内で目的を明確にし、社員間で共有することが重要です。当社は今回、会社全体のパフォーマンス向上を目的とすることを事前共有しました。テレワークを行うこと自体が目的になっては、意味がありません。導入効果も生まれにくいでしょう。
すぐに結果を求めない経営判断が重要
テレワークを導入して、すぐに結果が出るというケースは少ないと思います。新しい制度ですので、長い目で見た経営戦略が必要になります。会社に利益をもたらす可能性を充分に秘めている仕組みだと感じています。
- クラウドとは
- インターネット上にデータを保存する使い方、サービスのこと。
- ※1 VPN
- 仮想的な専用線(Virtual Private Network)の略。共有ネットワーク上にプライベートネットワークを構築すること、またはその技術。
- ※2 クラウド管理システム
- クラウドで提供される業務管理サービスやチャットサービスなどの総称。
- ※3 UTM
- 統合脅威管理(Unified Threat Management)の略。複数のセキュリティ機能を一つに統合したもので、一つの機能だけでは防ぐことのできない様々な脅威から企業ネットワークを総合的に守ることができる。