“株式会社JALUX”の事例
ルールを統一した働き方改革の導入
会社概要
- 本社所在地
- 〒108-8209 東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス
- 従業員数
- 382名
- 事業内容
- 航空機や部品の売買・リース等の航空・空港事業、空港免税店や機内販売等のリテール事業、保険・不動産等のライフサービス事業、ワイン・食品を輸出入するフーズ・ビバレッジ事業
経営課題 ルールを統一した働き方改革の導入
部署毎にある働き方文化の統一に向け課題の発見と会社の姿勢を示したトライアル導入
文化の異なる部署毎の働き方 全社的な環境作りが課題
当社は1962年の創立以来、航空・空港周辺事業で培った専門性やノウハウ、事業品質等を通じて、航空関連事業を基軸とした幅広い事業領域で多彩なビジネスを展開しています。2004年の東証1部上場後、BtoBとリテールの異なる事業を併せ持つユニークな商事・流通カンパニーとして事業展開してきました。主要事業は、航空・空港事業、ライフサービス事業、リテール事業、フーズ・ビバレッジ事業の4本柱です。
事業が多岐に渡るため、紙文化の部署、海外出張が多い部署等、部署毎に特色が異なり、個々で音声会議やモバイル勤務を取り入れており、統率が取りにくい状況でした。2017年に全社的な取組として「社員の働き方を変える」をテーマに、管理本部を中心にテレワーク導入を模索していましたが、良い方法が見つからず、アドバイスを受けるためモデル実証事業に参加しました。トライアルにより導入課題を洗い出すことも目的です。
統一したガイドラインの策定に会社と利用者との間に温度差
トライアル実施者は52名。育児・介護者を対象に在宅勤務19名、通勤時間が長い社員や外出の多い社員を対象にモバイル勤務・サテライトオフィス勤務37名を人選しました。在宅勤務とモバイル勤務・サテライトオフィス勤務が重複している社員もいます。
運用はトライアル用のガイドラインを策定し、全社統一のルールとして在宅勤務は週1回としました。連絡は、クラウド管理システム※1のチャット、音声通話、Web会議を活用しました。業務は会社で用意した20台のノートパソコンを貸与、VPN※2接続によるリモートアクセスで行いました。貸与されたノートパソコンは毎回返却するルールです。営業の社員は、もともと移動時間に仕事をしていたので、全社統一のルールへの疑問や、サテライトオフィスを利用することが手間だという声もありました。また、風邪を引いた社員が出た時は、ノートパソコンが返却されない等の課題もありました。
在宅勤務の高い効果と社員不在による負担への気付き
総務人事部の平井は、生後間もない子どもがいるため、在宅勤務を実施。始めは、子どもと育児休業中の妻がいる自宅で集中して作業ができるか不安でした。実際は、家庭内の雑音はオフィスと変わらない上、社内にいる時と違い、相談を持ち掛けられ、作業が中断することがないため、生産性が落ちることはありませんでした。在宅勤務時は、事前に業務タスクを社内に伝えることが義務付けられたことも、生産性の維持に良い効果をもたらしました。リモートアクセスが通信環境に左右され、操作性がワンテンポ遅いという点を除けば、自宅で仕事ができることは高く評価しています。一方、平井不在の社内で、金田は電話応対や他部署からの相談を代わりに受けることになる等、社内にいる社員の業務効率も考慮する必要があることがわかりました。
モデル実証を終えて全社的な取組であることを全社員が理解
テレワーク導入には幾つか課題が見つかりました。機器・ITツールの不足、通信環境の見直し等のハード面だけではなく、働き方文化の異なる部署の意識を統一する難しさ、ITリテラシーの格差、社内にいる社員の作業の増加等、人的要因の課題です。
今回、モデル実証事業に参加することで、目的だった課題の洗い出しはできました。それに加え、会社として働き方改革を真剣に取り組む思いが全社員に伝わり、勢いが付いたと感じています。当社では今後、企業としてのブランド力強化に向け、メンタルヘルスの在り方、連続休暇、海外拠点を含む会議の方法等の改革も視野に入れていますので、その中の一つとしてテレワークの本格導入を前向きに検討していきたいと考えています。
解決ポイント
- 経営課題
- 働き方文化の異なる部署の統一に向けテレワーク導入を模索
- 社員のワーク・ライフ・バランスを向上させてブランド力強化
- 導入概要
- テレワーク用のガイドラインを策定し、ルールの統一化
- ノートパソコンの貸与とサテライトオフィスの契約
- VPN※2接続によるリモートアクセスを活用したセキュアな作業環境の構築
- 導入効果
- 全社的な取組であることを社員に意識付けできた
- テレワーク導入における課題の明確化
テレワーク体制図
導入の様子
モデル実証企業からのアドバイス
本気度示す、トライアル期間を設けてみる
部署毎に業務の進め方や働き方文化の違いはあると思いますが、トライアル期間を作り、まずは取り組んでみることが大事です。会社として本気なんだという姿勢が示せ、社員の意識も変わり、理解が深まっていきます。
効果を図るための人選も大事に
全社員をテレワーク対象にするのが難しい場合、まずは自分で仕事をコントロールできる能力の高い社員を対象に効果検証を行うことも検討する必要があります。