“プーマジャパン株式会社”の事例
ブランド強化と、ダイバーシティの推進
会社概要

- 本社所在地
- 〒141-6018 東京都品川区大崎2-1-1
ThinkPark Tower18F - 従業員数
- 530名
- 事業内容
- プーマブランド製品の販売とそれに付帯する事業

経営課題 ブランド強化と、ダイバーシティの推進
社員もそのファミリーも大切にする企業として、テレワークは当然の施策として本格導入へ
ダイバーシティを推進する原動力としてテレワーク導入を検討
当社は、長い歴史を持つ世界的なスポーツブランドの日本法人です。サッカー選手をはじめとする世界のスーパースターたちに愛用され、日本でも1970年代から人気を博してきました。最近では、若い女性のファッションアイテムとしても注目されています。当社は、単にスポーツ製品を提供するだけでなく、スポーツ、健康的なライフスタイル、ファミリーフレンドリネスを推進する企業として、その国のコミュニティに貢献することをミッションとしています。
今回、モデル実証事業に参加した背景には、ダイバーシティという当社が非常に大切にしている概念があります。プーマのドイツ本社では、多様な人材を積極的に活用しようというダイバーシティが定着しており、女性管理職も4割近くを占めています。しかし、プーマジャパンでは女性管理職の割合が15%に満たない程度。ダイバーシティを推進する原動力として、働き方改革は重要なテーマであり、その先にテレワークという解決策が見えていました。日本の労働人口が減少する中、誰もが働きやすい職場環境を作りたい、社員もそのファミリーも大事にする環境を整えたい、と考えました。
社内で希望者を募りバランス良く構成
テレワークの形態は、在宅勤務とサテライトオフィス勤務。社内から希望者を募り、上司と本部長の承認を得て14名の社員を選びました。職種は営業、マーケティング、マーチャンダイジング等バランス良く構成。年齢や独身・既婚、育児者・介護者等、多様な人選となりました。通常業務でノートパソコンとスマートフォンを貸与している社員をテレワークの対象にしたので、新たに支給した機器はありません。さらに、ソフトウェア型のVPN※1を利用。社外からは、セキュリティの高いVPN※1接続で社内のイントラネット※2にアクセスできる仕組みを構築しています。
お互い勤務している状況を把握する工夫
モデル実証事業に当たり、ガイドラインを作成しました。代表的な規定は、在宅勤務中は必ず、クラウド管理システム※3のサービスを立ち上げておくというもの。クラウド管理システム※3を立ち上げてオンライン状態にしていると、システム上で在席状況が表示され、他の社員にはリアルタイムで在宅勤務の社員がパソコンの前で作業していることがわかります。連絡を取りたい社員は、遠慮することなくチャット機能で話しかけたり、音声通話やビデオ電話をすることができるようになります。業務開始時にはメールでその日に行う業務を上司に報告するのもルール。この在宅勤務中に導入したルールにより、通常勤務で会社にいる社員と比較しても、在宅勤務時の方が業務の可視化・把握ができ、良かったです。
実施者・管理者双方から高い評価
効果に関しては、モデル実証事業後に実施したアンケートに如実に表れています。コミュニケーション、セキュリティ、生産性向上、ワーク・ライフ・バランス等、すべての項目でテレワーク実施者・管理者の双方で高い評価が得られました。モデル実証事業を行う前に抱いていた不安感が、ほぼ払拭されたことが回答からわかりました。具体的な声としては、お子さんのいる社員から「子どもが在宅勤務の日を楽しみにしている」という印象的な声が聞けました。「通勤がないので負担が少ない」、「集中できるので生産性が上がる」といった声も寄せられています。
サテライトオフィス勤務は、大手鉄道会社が全国展開する施設を活用しました。営業職の社員が自宅の近くや出張先で利用するケースが目立ちました。当社は、セキュリティの関係上、会社の資料を自宅や出張先で印刷することを禁止していますから、常に大量の紙の資料を持ち歩く必要がありました。今回、サテライトオフィスでの印刷が可能となり、重い資料を持ち歩く負担から解消され、社員も喜んでいました。
モデル実証を終えて本社全社員を対象に本格導入の予定
今回のモデル実証事業の成功を踏まえ、2018年4月から本格的なテレワークを本社勤務の全社員を対象に導入したいと考えています。ブランド強化、ダイバーシティの推進、ファミリーフレンドリネスの実現、社員満足度の向上、生産性向上等、様々な効果を期待しています。また、テレワーク実施者が休日か在宅勤務かわからないという声もあったので、それを踏まえたルール作りも検討し、より大きな成果を実現したいと考えています。これにより、ブランドの強化を図りながら、ドイツ本社に負けないダイバーシティの実現を目指していきます。
解決ポイント
- 経営課題
- ファミリーフレンドリネスとして、社員の家族も大事にしたい
- ダイバーシティの推進が遅れている
- ブランド強化のため誰もが働きやすい環境づくりを実現する
- 導入概要
- 既に貸与してあるノートパソコンとスマートフォンを活用
- ソフトウェア型VPN※1接続サービスを使用
- ビデオ電話、音声通話、チャット機能を持つクラウド管理システム※3のサービスを活用
- 導入効果
- 業務への集中による生産性向上
- 通勤がないことによる負担軽減
- ワーク・ライフ・バランスの向上
テレワーク体制図

導入の様子

モデル実証企業からのアドバイス
実行する前の不安の方が大きい
実施前の不安の方が大きいということがアンケートの結果からわかりました。やらずに不安を抱えているより実施して改善点を明確にした方が得策です。
部門間での告知と共有のルール作り
テレワーク実施者が休みなのか在宅勤務なのかわからないという声がありました。部門間での告知と共有のルール作りが大切だと実感しました。
長期的な視点を持つことが大切
女性の活躍や社員のワーク・ライフ・バランス等、社会全体に大きなインパクトをもたらす可能性があります。短期の成果だけでなく長期的な視点を持つことが大切です。
- クラウドとは
- インターネット上にデータを保存する使い方、サービスのこと。
- ※1 VPN
- 仮想的な専用線(Virtual Private Network)の略。共有ネットワーク上にプライベートネットワークを構築すること、またはその技術。
- ※2 イントラネット
- インターネットの技術を企業などのLANに応用したもので、イントラ(intra)とは内部のという意味。TCP/IPの規格を使い、ネットワークを構築し、インターネットで使われているものと同じソフトウェアを利用する。
- ※3 クラウド管理システム
- クラウドで提供される業務管理サービスやチャットサービスなどの総称。