“キャンサー・ソリューションズ株式会社”の事例
創業当初から行っていたテレワークを改善させたい
会社概要

- 本社所在地
- 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-9
大新ビル4階401号 - 従業員数
- 10名
- 事業内容
- がん経験者を対象とした各種調査、企業内のメディカルケアのコンサルティング、がん経験者ニーズに対応した各種講演会・社員教育・学校教育への講師派遣、がんの啓発に関するイベントの企画運営、がん患者の声を取り入れた商品の企画・コンサルティング


経営課題創業当初から行っていたテレワークを改善させたい
社員のほとんどが、がん経験者 治療しながら仕事ができるようテレワークを導入
現状行っている在宅勤務の制度やツールの見直しを目指して
当社は2007年の創業以来、がん患者に対する企業内や社会全体の意識改革を進めるべく様々な活動を続けています。主な活動はイベント企画・講師派遣、冊子やDVDの企画編集を通じた情報提供です。いずれもがん経験者ならではの患者目線で、治療中や治療後の生活の知恵、治療に必要なお金の心配、治療と仕事の両立等に関する情報提供を行い、患者に寄り添うことを大切にしています。
会社を立ち上げた代表者と初期メンバーが、がん経験者または治療中だったことで、当初から通院への配慮と通勤による身体への負担を軽減するため、全員が個々の都合に応じてフレキシブルに働くことができる在宅勤務を導入しました。以来、入社するメンバーの多くががん経験者または治療中で、患者目線で仕事を継続しています。10年以上在宅勤務を行っているものの、活用しているコミュニケーションツールはメール、スケジュール管理は共有カレンダーでした。自分たちの在宅勤務は、相当遅れているのではないかと思い、当社の知らないツールや実践方法に加え、在宅勤務を制度としてどのように整備すれば良いのか等を知るためモデル実証事業に参加しました。
様々な最先端ツールを活用 在宅勤務の大きな可能性を予感
モデル実証事業への参加は、冊子の企画編集を行う部署から4名、イベントや講演に講師を派遣する部署から3名、さらに代表を加えた計8名です。代表は講演等で地方への出張も多く、外出先からの連絡も頻繁であるため、モバイル勤務も行いました。
チャットツール、勤怠管理ツール等、様々なツールを試す中で、日頃抱えていたコミュニケーションの課題を解消することができました。Web会議も試しましたが、スムーズに行え、資料を画面共有しながらの遠隔会議は、今後の在宅勤務に大いに役立つことを実感することができました。
チャットツールを活用したことでこれまで知らなかったメリットを実感
メールは受信する件数が膨大になると過去の履歴を探すのが大変でしたが、チャットツールでは同じ画面に一連のやり取りが表示されるので分かりやすいというメリットがありました。また、がん治療中の社員が急な体調不良で病院に行くことになった際、大容量のデザインデータ等メールでは受け渡しできなかったファイルが、チャットツールにより容易に受け渡せ、無理なくスムーズに引き継ぎできました。さらに、企画立案のような重要な会議を録音したファイルも、チャットツールを活用することで、欠席者に容易に共有でき、議事録作成も必要なくなり、業務効率が向上しました。
チャットツールやWeb会議を活用する機会が増えたことで、ツールを活用した場合と対面で行う場合とのコミュニケーションの質の違いに気づきました。ツールを活用した方法では、具体的な要求や質問が適しており、対面の場合はお互いの状況や悩み等、抽象度の高いやり取りが向いています。必要な場面で、必要な方法を採用していくこともテレワークを定着させるためには必要だと感じています。
オンオフの切り替えの難しさ ICTリテラシー格差といった課題も明確に
浮き彫りになった課題はオンオフの切り替えが難しいことです。集中できるのは良いことですが、つい仕事をやり過ぎてしまうこともありました。そこで今回、1日の勤務時間の8時間を超えたり、深夜に作業をしたりすると、アラートが管理者である代表に飛ぶ仕組みの勤怠管理ツールを導入しました。その仕組みのおかげで仕事とプライベートの切替えが重要との意識が高まりました。
また、ICTリテラシーが社員によって差があることも課題として認識しました。パソコンの設定等、普段は意識せずに使用しているため、ツールのインストールから各種設定が完了するまでに時間を費やしてしまうケースもありました。最初につまずくと、ツールを使いこなすのは至難の技です。社内にアドバイザーの役割を担う人材が必要だと痛感しました。
モデル実証を終えてみんなで支え合い、誰もが活用できる在宅勤務を模索
当社は、がん患者の目線を大切にしています。例えば、「履歴書に病歴を書いた方が良いのだろうか」、「顔色の悪さを隠すメイクのコツが知りたい」といった疑問に応える、経験者ならではの情報提供を心掛けています。そのために、がん患者だからこそ、お互いにどのような場面でサポートが必要かを常に考え、必要とされたときに必要な支援ができるように、盤石な会社を作っていきたいと考えています。在宅勤務は、そのような当社のビジョンの礎です。モデル実証事業で培った経験と知見を生かして、在宅勤務の制度を改善させていきたいと考えています。
解決ポイント
- 経営課題
- 最先端のツールを活用し、長年行ってきた在宅勤務を改善させたい
- 急きょ治療に専念したいときに、引き継ぎしやすい体制作り
- 導入概要
- 企画編集4名、講師派遣担当3名に代表を加えた計8名で検証
- チャットツールやWeb会議等によるコミュニケーションの円滑化と大容量データの受け渡し
- 時間外に作業を行うと管理者のアラートが鳴る仕組みの勤怠管理ツールを導入
- 導入効果
- ICTリテラシーの向上の必要性を認識
- チャットツールにより、データの受け渡しが容易になり、対面時よりも具体的な要求や質問に適していることを実感
テレワーク体制図

導入の様子

コンサルタントからのアドバイス
モデル実証事業では、コミュニケーションツールの刷新と、それに伴う業務の見直しを行いました。その結果、「チーム間の意思疎通が容易な上、情報伝達が明確にできるようになった」という評価につながりました。チャットツールやWeb会議等の最新のツールを活用することで、円滑なコミュニケーションを実現できます。自社に合った利用ルールを策定し、研修会を行うことがポイントとなります。
- ※クラウドサービス
- クラウドで提供される業務管理サービスやチャットサービスなどの総称。