“株式会社スリーエス”の事例
社長と社員が対話しながらテレワークマインドを醸成 製造現場でも積極的に在宅勤務を活用
会社概要
- 本社所在地
- 東京都北区浮間2-6-7
- 代表取締役
- 吉田 秀樹
- 従業員数
- 71名(2021年1月現在)
- 事業内容
- 自動制御機器の製造及び販売・自動制御機器の輸出入代理販売・自動制御装置の代理販売
社長と社員が対話しながらテレワークマインドを醸成
製造現場でも積極的に在宅勤務を活用
社員のライフイベントに合わせてテレワークを制度化し、離職を防止
当社は、プラントで流れる流体を制御する産業用精密機器「バルブポジショナ」の国内唯一の専業メーカーです。積極的な商品開発・海外展開により堅調に成長しており、昨今ベトナムと中国にグループ会社を立ち上げ、都内に営業所を新設しました。
新しい働き方にも前向きに取り組んでおり、営業社員が出張先でも効率的に仕事ができる環境整備を進めてきました。その中で結婚に伴う転居で勤務継続が難しくなる購買担当者が出たことと、これから親の介護をする社員が出てくるであろう等から、2017年に就業規則を整えてテレワークの制度化に踏み切りました。購買業務は現物を確認するといったことが絡みますが、日常業務の整理や仕入先とのコミュニケーションの工夫により「週に4日のテレワーク」という環境を確立し、不本意な離職を防ぐことができました。
一方、テレワークを活用しやすい部署とそうでない部署との間での不公平感という新たな課題も発生しました。特に、製造関連部署は「テレワークはできない」という意識を強く持っていました。
製造現場でのマインドを醸成 ローテーションを工夫して実施
当社はテレワーク活用の目的を「業務効率化」「リスクマネジメント」として推進しています。テレワークでも円滑に業務ができる環境整備の中で様々な効率化が生まれ、「誰かが出社できない場合、どこにどのような支障が生じるのか」というリスクマネジメントも進みます。当初は、製造関連部署を中心に「テレワークはできない」「やりたくない」という声が挙がっていましたが、社長から上記の目的について根気よく発信を続けることで、社員の意識も徐々に変わっていきました。
製造現場では、生産性向上のための改善策を常に考える必要がありますが、現場対応や突然の来客等により、落ち着いた時間を確保することは容易ではありません。現在は、部署内ローテーションの工夫等により週1日のテレワークを行うことで各自の時間確保が可能になり、改善立案数は増えています。
また、工場長が出社できない時に備え、Web会議を通じて現場の状況を把握しながら的確に指示が出せるようなシミュレーションも行っています。技術部門においても、設計業務や報告書作成業務等を自宅で集中して行うことができています。
営業部門で電子化が加速 国内外で営業の即時性が向上
当初、営業部ではテレワークのために資料を持ち帰って作業をし、出社した際に再度印刷してファイリングしていました。これでは業務効率が極めて悪いため、セキュリティを強化した上でクラウドサービスを活用した情報管理を推進しました。現在では紙の資料は極限まで削減され、いつどこにいても必要な情報にアクセスできる環境になっているため、自宅でも出張先でも顧客管理や受注業務を行うことができます。
ペーパーレス化により、上長が出張で不在の際もオンラインで速やかに案件の承認ができるようになりました。商談についてもWeb会議を活用し、国内外のお客様へ即時性の高い活動を行っています。取引先の関係部署が複数にまたがるような案件は、かつては関係部署を巡回したり、一堂に会してもらうよう調整してもらったりしていましたが、オンライン説明会を開催することで、関係者に一斉に説明ができるようになりました。
自発的に改善策を考察 今後は収益等の定量的な効果を目指す
現在では、「全ての正社員が週に最低1日はテレワークを活用する」ことを徹底しており、営業部で13名が週1~5日、人事・経理・総務部署で3名が週2~3日、製造部で13名が週1~2日のテレワークを実施しています。全社平均では一人当たり約2日のテレワーク活用がされている状態です。
トップが根気強く発信したことで、「業務効率化」「リスクマネジメント」というテレワークの目的についての理解が浸透し、生産性を高めるための業務改善が各部署で起こるようになりました。営業部のペーパーレス化についても、メンバーが自発的に改善策を練り、経営層に上申して実現したものです。このように、テレワーク推進により業務改善やリスクマネジメントは確実に進展しています。
なお、「売上拡大」「収益向上」「残業縮小」等の重要指標に関する明確な変化はまだ見られませんが、これらについては短期的な効果は期待していません。引き続きテレワークを上手に活用し、足元の小さな改善の積み重ねを確認しつつ、長期的視点で効果が表れることを期待しています。
テレワーク定着・拡大の流れと成果
課題
- 製造部の活用を促進したい
- 紙資料の電子化によるさらなる業務の効率化
取組
- 製造現場における業務の改善に向けたアイデアの在宅勤務での捻り出し
- 製造現場への指示をWeb会議でシミュレーション
- 紙資料の電子化とクラウドサービスの活用
成果
- 製造現場での積極的な活用
- 即時性の高い営業情報の共有を実現
- 自発的な改善策の提示等の社員の意識改革
現在の運用方法
PROJECT leader
テレワークは現場を支える人たちのおかげで成立します。活用頻度の差による不公平感が生まれますが、活用によって会社全体が良くなり、現場を支える人たちにもプラスになることを理解してもらうことが肝要です。不公平感は無理して無くそうとせず、受け入れて乗り越えるようにしています。
代表取締役
吉田 秀樹 様
TELEWORK 実施者の声
2017年に家族の介護のため週2日在宅勤務を活用していました。その時に紙資料の持ち帰りに課題を感じていましたのでクラウド化の提案をしました。コロナ禍で完全在宅勤務になっても、快適に業務を行っています。通勤時間の削減で家事にも余裕ができ、自分の時間を持てるようになりました。